イップス

【トクサンTV】 柴田章吾さんのイップス克服トレーニングをわかりやすく解説!

こんにちは。

イップス認定トレーナーの柏直樹(@Yips_mental)です。

 

日頃からYouTubeをチェックしているのですが、先日、野球界では有名なあのトクサンTVで気になる動画が上がっていました。

 

以前から出演者のライパチさんがイップスを告白しており、克服するために元阪神タイガースの赤星さんなどに指導を受けている動画などがありましたが、

今回は、元読売ジャイアンツの柴田章吾さんが現役時代にご自身のイップスを克服するために行っていたトレーニングを紹介するという動画でした。

 

イップストレーナー
イップストレーナー
その動画がこちらです!

 

この動画を見て率直に、

柏直樹
柏直樹
そこまで考えて工夫してるなんてさすがプロになる選手はすごい!

という感想を持ちました。

 

また、それと同時に「もう少しポイントを整理してわかりやすくできれば悩んでいる多くの選手の役にたつかも!」と思ったので記事にしました。

 

動画のことや出演されている方のことを批評するようで少し上からな形に感じられるかもしれませんが、

イップスに悩む多くの選手の参考になればと思いますので今回ばかりはどうかお許し願いたいです。

 

記事の信頼性

僕は現在、横浜にあるイップス研究所でイップスに悩む選手の精神面・技術面を含めたケアをしています。

 

イップス研究所はこれまで7000例以上のイップスに悩む方をケアしてきました。

 

所長の河野昭典先生は、過去に福岡ソフトバンクホークスでメンタルアドバイザーを務めたり、プロ野球で活躍する選手のイップスの克服を指導するなど、

プロ野球の選手・指導者とも幅広く関わりを持っています。

 

また、ソフトバンクに在籍していた当時に、選手の動作分析も行っていました。

イップス研究所でのトレーニングは、その頃の経験から考案されたものです。

柏直樹
柏直樹
当時2軍にいた柳田選手、千賀投手、甲斐選手なども指導していましたよ!

 

そのトレーニングのポイントの中で、今回、柴田章吾さんがおっしゃっていたポイントも含まれていたので、補足する形でポイントをよりわかりやすく解説していきたいと思います。

 

トクサンTV 柴田章吾さんのイップス克服トレーニングをわかりやすく解説!

柴田章吾さんの簡単な経歴

  • 愛工大名電→明治大学→2011育成3位で巨人入団
  • 大学時代~NPB時代まで3回ほどイップスを発症
  • 天井に投げてしまったり、2バウンド、3バウンドで投げていた
  • きっかけはバッティングピッチャーで近い距離をふんわり投げて入らず、強く投げたらゲージを越えていったこと
  • トレーニングは、イップスでも投げられるようになるための準備というもの

 

では早速トレーニング…と、その前に柴田さんが大切なことを言ってくださりました。

 

投げれない人って基本的にここ(リリース)が気になる。

ボールを投げる手を意識する。そうすると、体が使えなくて、体が開いて、ここ(手首)でやろうとするので感覚が身につかないけど、

下半身からグローブの手を同じ動きがずっとできれば体が回転した時には、絶対リリースが一緒になるはずなんですよ。

 

トクサン「勝手に振られるという感じですよね」

イップストレーナー
イップストレーナー
このトクサンの一言がナイスでした!

腕は自然に振られる

 

腕は自然に振られるものであって、意識して振ろうとしてしまうと不自然な動作になってしまいます。

自然な動きを取り戻すためにまずここは大切なポイントです。

 

では柴田さんのトレーニングに入っていきます。

 

①投げる向きに対して正対しグラブの手を前に出す

グローブを出して、出したところで離すっていう練習。

リリース位置を決めてしまう。

投げたいところにグローブを出して投げる。

 

柴田さんの説明でも十分わかりやすいのですが、それに加えると、

肘が前に出てくることも大切です。

 

先ほどの「腕は勝手に振られる」にもつながるのですが、肘が出てくれば、肘から先は自然に使われるようになります。

イップスの選手が気になる、手首やスナップは気にしなくても自然に行われるようになるのです。

 

②横を向いて同じようにやる

体は開きたくないので真横にして、

下半身から連動させたいので、体重移動を使って。

 

体の開きを抑える

 

質問者さん
質問者さん
体を開かないことが大事ってよく言われるけどなんで大事なんですか?

イップストレーナー
イップストレーナー
体が開くと、体より先に肘が出てこないから抜けやすくなってしまうんだ!

体が開くと、体の開きと同時に腕が出てしまい、肘が前に出てきません。

 

柴田さんの説明だとこの部分。

 

肘が前に出てきています。

肘が前に出てきていません。

 

イップストレーナー
イップストレーナー
腕が体を追い越すというイメージが大切です。

柴田さんは「腕が体の近くを通る」という表現をしていましたね。

 

③正面の縦のスペースをイメージ

体重移動って後ろと前につかいたいんですよ。

横に使いたくない。

自分が狭い通路にいると思って、その隙間だけで投げる。

ラインから腕が出ないように。

 

このトレーニングは

  • 左投げの選手か右投げの選手か
  • 腰の回転が縦回転に近い選手か横回転に近い選手か

によって変わってくる部分でもあるので若干の注意が必要かもしれません。

 

途中でライパチさんがこのような質問をしていますね。

このトレーニングでもわかるように柴田さんは縦回転(オーバースロー気味)で投げるイメージを持っています。

 

腰をひねるタイプの横回転の腰の使い方をする人、スリークウォーターに近い人などは感覚が異なる可能性があります。

 

また左右の利き腕の違いによる差も生まれます。

人間の元々の身体の構造上、右投げ、左投げで腰の回転しやすさが異なったり、軸足の違いによるバランスの保ち方が異なることなど、

左右差があるので柴田さんとは異なる右投げの人には感覚的に合わない可能性もあります。

イップストレーナー
イップストレーナー
ちなみに左のアンダースローがいないのは、左投げは体の構造的に難しいとイップス協会にいるフィジカルトレーナーの方がおっしゃっていました!

イップスに悩む選手
イップスに悩む選手
へぇ〜そうなんだ!

イップストレーナー
イップストレーナー
左投げはオーバースロー、右投げはスリークウォーターくらいが本来の自然な位置らしいよ!

 

④助走をつけて①~③のトレーニング

足を上げるとまだちょっと投げられないので、

助走をつけて投げる。

 

⑤トレーニングの意識のまま足を上げて投球

今、一つ一つチェックしたものをピッチングでできるように

イップストレーナー
イップストレーナー
④と⑤はトレーニングの内容を実践に近づけたものですね!

 

意識するポイントを整理する

 

柴田さんの場合、

というようにポイントを整理していましたね。

 

このポイントの内容自体は人それぞれ感覚によって個人差があると思いますが、なるべく少ないポイントに整理しておくといいです。

 

あまりに意識するポイントが多くなりすぎると、逆に身体がスムーズに動かなくなってしまいます。

 

無意識にできることが理想ですが、「これだけ意識すればOK」というポイントが決まるといいですね。

 

イップストレーナー
イップストレーナー
自分の場合は、たまにおかしくなったと感じたら、「肘から出すこと」だけを意識するようにしています。そうすれば引っかかりや抜けることがなくなります!

 

プラスでアドバイス

 

僭越ながら、そして生意気ながら、そしてご勝手ながら、僕がもし柴田さん、ライパチさんのイップス克服のためにアドバイスを加えるなら、

  1. 肘の角度
  2. 腕の位置

にも感覚を取り戻すポイントがあるのではないかと克服する選手を見てきた経験上感じます。

肘の角度

肘の角度とは、ここの部分ですね。

トップの部分で、肘が外側を向き、手首が内側に入る(ボールを持つ手が耳に近くなる)動きが見られますよね。

動画の方がわかりやすいかもしれません。

イップストレーナー
イップストレーナー
送球イップスの選手に多くみられる特徴のひとつです!

僕自身も過去にそうでしたし、決してこの動作が絶対にイップスになるというわけではありません。

プロの投手でもこのような角度になる投手もいます。

 

ただ、このように肘が外側を向き手首が内に入ることには、

  1. 腕に力が入りやすい
  2. 肘が出にくい

という注意点もあります。

 

そして、この動きを改善(肘が下を向き、手首が耳から離れる)することで投げやすくなり感覚を取り戻す選手も多くいます。

 

イップストレーナー
イップストレーナー
1つの参考にしてみてください!

 

腕の位置

柴田さんの高校~大学時代YouTubeの動画をチェックしましたが、高校~大学当時はスリークウォーター気味で投げています。

その頃の

  • スムーズさ
  • 球威
  • コントロール

などを見るかぎりでは、ややスリークウォーター気味の意識の方が合うのではないかと感じます。

またライパチさんもやや上から投げるイメージが強いように感じます。

 

本人としては横から投げているイメージが、本来の上から投げる位置になる選手も多くいます。

イップストレーナー
イップストレーナー
自分のイメージと実際の動きには意外とギャップがあり、「サイドスローで投げてみて」といって投げてるつもりがオーバースローになっていることはよくあります!

 

おわりに

イップスの定義と克服

今回は、動画で紹介されたこともあり、技術的な部分のみでお話ししましたが、僕の見解としては、技術的に克服できるものは本当の意味でのイップスではないと考えています。

 

イップスをはじめに名付けたゴルファーのトミー・アーマーはイップスをこう言い表しています。

「(イップスは)練習ラウンドで出ることはない。イップスは本番病。致命的で克服は困難」

 

そもそも定義が明確に定まっているわけではないので、正しいも間違っているもありませんが、

練習では問題なくできることができなくなる、つまり、技術的にできるはずのものが精神的な要因によってできなくなるというのが本来のイップスです。

 

実際に悩まれている選手でいうと、野球でいえば、

  • ブルペンでは問題なく投げれるにも関わらず試合のマウンドになると投げれなくなる
  • 練習では簡単に捕れるフライが試合になると捕れなくなってしまう

などの技術とは関係なく起きてしまうものが本来のイップスに近いといえます。

 

そのため本来のイップスの根本的な原因は、

  • 運動動作の記憶や身体を動かす脳
  • 不安や恐怖などの感情に反応してその脳に指令を出す神経
  • その感情を作り出す心(ものの見方や捉え方)

などに原因があると考えられます。

 

決して柴田さんやライパチさんの状況がイップスではないというわけではありません。

 

プロ野球の世界に入るような方があのような暴投を繰り返すなんて普通ではありません。

ライパチさんも、コントロールできた時のボールを見れば、本来は送球ももっと良かったのだと感じられます。

 

 

ただ、今回のような技術トレーニングでは改善できない、精神的な要因によるイップスで悩まれている選手もいるので、技術練習だけに捉われないように注意しましょう。

今後にも期待

トクサンTVは、福井のBCリーグで球団を運営することで話題となりました。

 

社長の小松原鉄平さんは、イップス研究所の河野先生とも関わりがあり、日本イップス協会にもお越しいただいたこともあります。

 

そんな関係もあり、何か勝手に縁を感じる部分もあります。

イップストレーナー
イップストレーナー
今後の野球界の発展につながればと思います!

 

まとめ
  1. 今回の柴田章吾さんのようにプロ野球の世界でもイップスに悩む選手は多くいる
  2. 練習をする場合は、柴田さんのように自分の中でのポイントを整理しておくことも大切
  3. 技術だけにとらわれることも注意が必要